2010/08/12


うすむらさき色が藤色だということはバアバから教わった。
それから藤の花を見ると、そのことを思い出す。


こどもの頃から、バアバとは週末よく銀座へごはんを食べに行った。
ごはんの後は喫茶店でケーキを食べた。
バアバは自分の分を頼むのに
一個食べれないと言って、残りをわたしにくれる。

こどもの頃は、8月の終りに箱根に行くのが恒例だった。
仙石原プリンスホテルか富士屋ホテル。
丸いプール、鎧、大きな鯉、水車、古い洋館のなんともいえない佇まい…
こどもながらにそれが良いモノであることはなんとなく分かっていた。

そうやって、わたしはバアバが大好きになった。
そうやって、わたしは甘やかされてきたんだ。


そんなバアバからたったひとつだけ頼まれていたことがあった。
たったひとつだけ。
「わたしの肖像画を描いて」と。

次、お見舞へ行く時には
持って行こうなんて気軽に思っていた。

いつだって「いつか」なんてこと、
ある訳じゃないと分かっていたのに。

叶えてあげられなくって、ごめんなさい。
天国に持って行ってね。


「あんたはもっとできる子だから。
 こんなところで留まってる場合じゃないの。」

1年半前、そう言ってくれたこと、今でも覚えている。
バアバの孫として、もっとかっこよくなるよ。
バアバの孫だから、もっとかっこよくなれるよ。


もう丸一日、泣いてばかりいて疲れたんだ。
泣いていても、何もできないから
こうして記することにしたの。


きのうの帰り道はチョコレートと大福を買ったよ。
おととい、バアバがチョコを食べたと聞いたから。
チョコを食べたら、あんこが食べたいって言ってたと聞いたから。

チョコレートも大福も甘かった。
バアバに甘やかされるのとおんなじくらいにね。

ありがとう。

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